近年、ワイン好きの間で注目を集めている「ナチュールワイン(自然派ワイン)」。
レストランやワインバーで「ナチュールあります」と書かれた看板を見かけたことのある方も多いのではないでしょうか。ナチュールワイン専門店なども最近では珍しくないですよね。
しかし、「ナチュールワインって普通のワインと何が違うの?」「なんだかクセが強そう」といった疑問や先入観も少なくありません。今回は、ナチュールワインの魅力や特徴、選び方についてご紹介します。
ナチュールワインとは?
ナチュールワインとは、一般的に「自然な農法で育てられたブドウを、極力人為的な操作を加えずに醸造したワイン」を指します。
正式な定義はないのですが、有機栽培またはビオディナミ農法(バイオダイナミック農法)で栽培されたブドウを使用し、酸化防止剤や培養酵母、濾過や清澄といった工程を必要最低限にとどめたワインがナチュールワインと呼ばれています。
化学肥料や農薬を使用しない農法で育ったブドウは、自然のリズムや気候に大きく影響され、
年ごとの個性がはっきりと表れるのが特徴です。
また、醸造中も添加物や人工的な操作を避けるため、ワインそのものの“生きた味わい”が残るのです。
味わいの特徴

ナチュールワインの味わいは、従来のワインと比べて「ナチュラル」「素朴」「予測不能」といった表現がされることが多いです。ワインによっては、少し濁っていたり、泡立っていたり、独特な香りがするものもあります。
これは、自然酵母による発酵の結果であり、むしろナチュールワインならではの個性とも言えるでしょう。
そのため、飲み慣れていないと「クセが強い」と感じるかもしれませんが、
ハマる人にとっては「他のワインには戻れない」と感じるほどの奥深さがあります。
果実味や酸味が豊かで、軽やかさと飲みやすさを兼ね備えているものが多く、食事との相性も抜群です。
なぜ今ナチュールワインが人気なのか。
- 「サステナビリティへの関心の高まり」
地球環境や健康志向への関心が高まる中で、化学物質を極力排除したナチュールワインは、「身体に優しいお酒」として選ばれるようになっています。 - 「クラフトビールブームとの共鳴」
クラフトビールやサードウェーブコーヒーなど、作り手の哲学やストーリーが詰まった“クラフト”な商品が人気を博しており、ナチュールワインもその文脈で語られるようになっています。 - 「造り手の個性が際立つ」
小規模生産者が多く、ワイン一本一本に作り手の想いが込められている点も魅力の一つ。味だけでなく、その背景やストーリーに共感して購入する人も増えています。
ナチュールワインのボトルはエチケットがおしゃれなものが多く、SNS映えで若者にも人気が出ているようです。
ナチュールワインの選び方と楽しみ方
ナチュールワインは「ラベルに『ナチュール』と書かれていれば安心」というわけではなく、
品質や味わいは生産者によって大きく異なります。
信頼できるショップやソムリエに相談しながら、自分の好みに合った1本を見つけるのがポイントです。
また、ナチュールワインは比較的若いうちに飲むものが多く、保存にも少し注意が必要です。
冷暗所での保存や、開栓後はなるべく早めに飲みきることが推奨されます。
楽しみ方としては、ワイン単体で味わうのも良いですが、軽めの食事やチーズ、和食などとも好相性。
気取らずに、気軽に、ワイングラスではなくタンブラーで楽しむ人もいるほどです。
まとめ:ナチュールワインは自由なワイン

ナチュールワインは、ラベルの裏のスペックや品種にとらわれず、自分の五感で味わう楽しみを教えてくれるワインです。その年、その畑、その造り手、その瞬間にしか生まれない唯一無二の味わい。それを「おいしい」「面白い」と感じられることこそ、ナチュールワインの最大の魅力ではないでしょうか。
まだ試したことがない方は、ぜひ一度ナチュールワインを手に取ってみてください。
もしかしたら、あなたのワイン観ががらりと変わるかもしれません。